五島記念文化賞美術新人賞研修帰国記念 堀江 栞 個展「声よりも近い位置」

この度、堀江栞個展「声よりも近い位置」を開催いたします。
本展は、堀江が2015年に受賞した第26回五島記念文化賞美術新人賞受賞によって行った海外研修の成果発表展として、東急財団の助成のもと開催する個展で、2021年4月3日から√K Contemporary及び同ギャラリー地下にあるSpace√Kの2会場の展示を皮切りに、3会場で開催するものです。本展では、堀江が海外研修を経て初めて描き始めた人物画を中心とするここ数年の近作や、パリ滞在中の写真、担当した本の挿画・装画の原画も展示いたします。

*Space√K(B1F)の展示延長決定!*
ご好評につき、地下スペースでの展示期間を延長する事になりました!
GW期間中もご覧いただけますので、ぜひご来廊ください。
尚、4/20、21の2日間は都合により、地下は閉廊となります。
この2日間は1F~2Fのみの展示となりますので、何卒ご了承ください。

4/3(sat)― 4/17 (sat) 5/5 (wed) Space√K(√K Contemporary B1F)
4/3(sat)― 5/15(sat) √K Contemporary
5/29(sat)― 6/12(sat) 加島美術

 

主催| 公益財団法人 東急財団
協力| Sei-Rin、 √K Contemporary、 加島美術

 

【会期中のご来場について】
新型コロナ感染拡大防止対策のため、入り口にて検温・消毒・マスク着用へのご協力をお願いいたします。また、会場内の状況により入場制限をさせていただく場合がございます。
何卒ご理解、ご協力を賜りますようお願いいたします。

 

 

 

【本展について】

堀江栞は、美術大学で日本画を学び、その伝統や技法を踏襲しながら独自のスタイルを確立してきました。感受性が強く繊細な彼女の描く画面には、一見静謐な世界観が拡がりを見せますが、その内面の精気は強く私達に訴えかけてきます。
2014年加島美術での初個展では、動物やモノのモチーフを中心に対象物を包み込むような優しい目線で描かれた作品が多く、それらは息吹きを感じ得る程、生命の尊さと儚さを内に秘め、表面の静けさが独特の美しさを放っていました。
対象物に対峙する彼女の目線が捉えるのは、自己の強さや脆さとの絶え間ない葛藤の反復による内面への共鳴であり、誰もが見えるものではありません。
パリでの滞在を経て、対象が「人」へと拡がりを見せた今、描かれた人物の「眼差し」は、何を主張し訴えているのか。静物画の様でもあるこれらの描写に示されているのは、強さか儚さか。
堀江が対象に見据えた目線は、彼女にしか感受することのできない価値観であることは確かです。技術だけでなく精神面でも成長した堀江栞の世界をたくさんの方々に触れていただければ幸甚にございます。

また、本展に先んじて、2020年に受賞した世田谷区芸術アワード“飛翔”の発表展、「第6回世田谷区芸術アワード“飛翔”受賞記念発表 堀江栞展 ―後ろ手の未来―」が2021年3月16日~3月28日にかけて、世田谷美術館区民ギャラリーで開催されますので本展と併せて、ぜひご高覧ください。

詳細は世田谷美術館HPよりご確認ください。

 


 

「声よりも近い位置」にいるために

心から好きなものを描き、その芯を確かな形として表したいとの思いで、制作してきました。私には、有機溶剤に対するアレルギーがあります。油絵具やアクリル絵具等の、化学物質が入った画材を使えないため、日本画科に進学し、天然素材由来の岩絵具と顔料、和紙、膠だけで絵を描いてきました。私にとっては岩絵具の粒子ひとつひとつが、単なる画材ではなく、好きなものを形作る細胞のように思えます。
制作にあたって心がけているのは、モチーフを目の前に置き、距離を縮め、観察を重ねて描いていくことです。対象は、いつもすぐそこに、でも見えないところにあります。長い時間にわたって対話を続けることで彼らに近づき、静かに発せられる声を、なんとか聴き取りたい。展覧会の総タイトルを「声よりも近い位置」としたのは、そのような願いをこめてのことです。
描いていくなかで引き寄せられたのは、傷つけられ、痛みを負い、哀しさや辛さを抱えた存在たちです。それがこれまで描いてきた動物や石、人形でした。しかし今回のパリ留学をきっかけに、モチーフとしての「人」と向き合いたいと思うようになりました。
周りに合わせ、意思を表明しないまま流されていきがちな現在の状況に、私は不安を覚えています。歴史を振り返れば、同様の景色が広がっていたことは明らかです。小さな声は蔑ろにされ、異を唱えるものは居場所を奪われてきました。「痛みを負った哀しさや辛さを抱えている者」たちの声。周囲に、社会に踏みつぶされそうな声。そんな声を聴き取るために、「人」を描いてみたいとはじめて思いました。私が彼らを描こうとしているのは、単なる共感からだけではなく、その抗いの姿勢を継承するためでもあります。今はもういない彼らとこれから来る彼らに、寄り添い続けていきたいと思っています。― 堀江栞

 


 

【五島記念文化賞とは】

豊かな生活環境の創造に力を尽くした、故・五島昇東急グループ代表の事績を記念し、芸術文化の分野における優秀な新人を顕彰することを目的に1990年に創設されました。
美術とオペラの分野で次代を担う若手芸術家に「五島記念文化賞」(美術新人賞・オペラ新人賞)を授賞し、海外研修への助成および研修終了後の成果発表の機会を提供しています。本展は、研修終了後の成果発表として助成を受けています。

IMAGES

  • 輪郭 #11 2020

  • ここに在ることⅨ 2020

  • 凛然 2010

ARTISTS

堀江 栞
Shiori Horie

1992年フランス生まれ。2014年多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業。同年に加島美術で初の個展を開催し、アートフェア東京2015の加島美術ブースにソロで出展。第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展入選。第26回五島記念文化賞受賞により、2016年の一年間パリに滞在。第六回世田谷区芸術アワード“飛翔”を受賞し、今年3月に受賞記念展を世田谷美術館区民ギャラリーで開催。多和田葉子『献灯使』(講談社、2014年)の装画・挿画や、平凡社の文芸誌『こころ』の表紙と言葉の連載、集英社『すばる』でのフォトエッセイ、ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション全五巻(インスクリプト)の装画などを担当。 堀江栞公式サイト   /    Instagram  / Twitter

堀江 栞
Shiori Horie

1992年フランス生まれ。2014年多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業。同年に加島美術で初の個展を開催し、アートフェア東京2015の加島美術ブースにソロで出展。第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展入選。第26回五島記念文化賞受賞により、2016年の一年間パリに滞在。第六回世田谷区芸術アワード“飛翔”を受賞し、今年3月に受賞記念展を世田谷美術館区民ギャラリーで開催。多和田葉子『献灯使』(講談社、2014年)の装画・挿画や、平凡社の文芸誌『こころ』の表紙と言葉の連載、集英社『すばる』でのフォトエッセイ、ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション全五巻(インスクリプト)の装画などを担当。 堀江栞公式サイト   /    Instagram  / Twitter

堀江 栞
Shiori Horie

1992年フランス生まれ。2014年多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業。同年に加島美術で初の個展を開催し、アートフェア東京2015の加島美術ブースにソロで出展。第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展入選。第26回五島記念文化賞受賞により、2016年の一年間パリに滞在。第六回世田谷区芸術アワード“飛翔”を受賞し、今年3月に受賞記念展を世田谷美術館区民ギャラリーで開催。多和田葉子『献灯使』(講談社、2014年)の装画・挿画や、平凡社の文芸誌『こころ』の表紙と言葉の連載、集英社『すばる』でのフォトエッセイ、ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション全五巻(インスクリプト)の装画などを担当。 堀江栞公式サイト   /    Instagram  / Twitter

堀江 栞
Shiori Horie

1992年フランス生まれ。2014年多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻卒業。同年に加島美術で初の個展を開催し、アートフェア東京2015の加島美術ブースにソロで出展。第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展入選。第26回五島記念文化賞受賞により、2016年の一年間パリに滞在。第六回世田谷区芸術アワード“飛翔”を受賞し、今年3月に受賞記念展を世田谷美術館区民ギャラリーで開催。多和田葉子『献灯使』(講談社、2014年)の装画・挿画や、平凡社の文芸誌『こころ』の表紙と言葉の連載、集英社『すばる』でのフォトエッセイ、ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション全五巻(インスクリプト)の装画などを担当。 堀江栞公式サイト   /    Instagram  / Twitter