√K 作家支援プロジェクト|小野久留美「Still Life」
√K 作家支援プロジェクト|小野久留美「Still Life」
Dates | 2024年11月5日(火)-11月16日(土)
Hours | 13-19時 (closed on Sundays, Mondays)
Venue | Space√K (√K Contemporary B1F)
弊廊地下のSpace√Kでの行っている作家支援プロジェクトの一環として、11/5-11/16にかけて小野久留美「Still Life」を開催いたします。
小野久留美は、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズファイン・アート学部を卒業後、現在は日本を拠点に活動するアーティストです。「プリントした写真を土に埋める」という手法を用いて作品を制作しています。
この世界にある万物はすべて常に変化していますが、その中にあって人類は永続するものに対する欲求を常に持ち続けてきました。小野は、写真という、まさに世界の断面を切りとる一画面を土に埋め、風雨や菌類などがもたらす自然界の変化を画面に写しこんでいくことで、その無常さや儚い美しさを表現しています。
是非ご高覧ください。
Still Life
私は、「変化」と「人間の保存への渇望」の関係に興味を持ち、「写真を土に埋める」という手法で、変化と保存の関係を可視化する作品を制作している。
人類は、すべての生き物がいずれ土に還り、形あるものが崩れて消失するという「流転」に抗い、「永遠に留めておきたい」という願望を抱いているように思う。写真を撮る行為も、この願望から生じているのではないだろうか。シャッターを押すことで、事象は写真として一瞬を留めることができる。しかし、その写真を絶えず変化を続ける土に埋めると、土中の水分や菌類の影響を受け、刻一刻と変化し、うねりや新たな模様、色の変化といった痕跡が刻まれていく。
今回の展示では、静物画に頻繁に描かれるモチーフに着目した。伝統的な静物画は、果物や花などを描き、瞬間を永遠に留める試みだが、私は土や氷といった自然物を使い、固定されたイメージである「動かない生命」に変化を加えている。
新鮮な果物が徐々に腐敗し朽ちていくように、写真として保存されたイメージも自然の力によって変容し、そこに新たな痕跡や模様が現れる。しかし、それは単なる崩壊や終焉ではなく、物質が新しい形態へと変わり、異なる美しさを獲得していくプロセスだ。静止画を動かすことは、再生や再生産の象徴のように感じられる。
自然の移ろいに向き合うことは、人間が抱く保存への欲求を浮き彫りにし、生命の本質を映し出すのかもしれない。
小野久留美
Artist | 小野久留美
1995年 栃木県生まれ。
ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズのファイン・アート学部を卒業。
すべての生き物はいずれ土に還り、形あるものは崩れゆく。 この〈流転〉に抗うように、「永遠に留めておきたい」と保存への憧れを抱く人間性への関心からアート作品を制作。瞬間の像を留める「写真」を「土」に埋め、〈変化〉と〈保存〉の関係性の可視化を試みる。