初日となる12月6日18時より、公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員の内海潤也さんをお迎えしたギャラリートークを開催します。
1990年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科キュレーション専攻修了。
黄金町エリアマネジメントセンターキュレーターを経て、現在は公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員。ジェンダーに関心を寄せ、日本と東南アジアの現代美術を調査・研究しながら、展示企画、執筆などを行う。主な企画展に「ジャム・セッション 山城知佳子×志賀理江子 漂着」(2025–2026年)、「ジャム・セッション 毛利悠子 ピュシスについて」(2024–25年)、「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap」(2023年、いずれも全てアーティゾン美術館)。2025年7月に設置したアーティゾン美術館屋外彫刻作品、レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》の企画・制作を担当。


ネルソン・ホー「鏡中花、水中月 – A Mere Reflection of Flower and Moon」
会期|2025年12月6日(土)〜12月27日(土)
※オープニングレセプション 12月5日(金)17時~
会場|√K Contemporary
開廊時間|13:00–19:00
休廊日|日・月
√K Contemporaryでは、2025年12月6日(土)から12月27日(土)まで、マレーシア出身のアーティスト、ネルソン・ホー(1998–)による個展「鏡中花、水中月 – A Mere Reflection of Flower and Moon」を開催いたします。
ネルソン・ホー(Nelson Hor)は、多摩美術大学で日本画を学んだのち、岩絵具、陶芸、写真、インスタレーションといった多彩なマテリアルを自在に往還しながら、LGBTQやメンタルヘルスといった現代社会の根源的な課題に向き合い、繊細かつ詩的な表現を生み出してきました。
「イスラム宗教色の強いマレーシアに育ったゲイの私にとって、美は宗教に代わるものでした。」
作家自身のこの言葉が示すように、本展は、濃密な宗教文化の中で育ったLGBTQの人々にとって “美” がどのように精神的な拠り所となり得るのか — その内的世界とクィア(Queer)の美学を独自の視点から掘り下げる試みです。
会場では、ネルソン・ホーによる新作ペインティングや立体作品、インスタレーションに加え、イサム・ノグチ、水之江忠臣、柳宗理といった戦後日本に新しい美意識をもたらしたデザイナーの家具を配置。日常に寄り添うシンプルかつ機能美に優れた家具と作品を共存させることで、ギャラリー全体が “クィアの聖域” として再構成されます。そこでは、美は贅沢品ではなく、クィアが厳しい現実を生き抜くための「精神的サバイバルの必需品」として、あらたな意味をもって私たちの前に立ち現れることでしょう。
作家のまなざしは、性や背景を問わず、残酷な現代を生きるすべての人の心に共鳴を生むはずです。
また、会期中には、内海潤也氏(公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員)をお招きしたギャラリートークや、AndromedaとNixie HumidityによるDrag Queenパフォーマンスを開催いたします。
【Artist Statement】
本展タイトルの「鏡中花、水中月」は、中国語の慣用句である「鏡花水月」に由来しています。美しいものは往々にして儚く、手に入らないものであるという意味です。
イスラム宗教色の強いマレーシアに育ったゲイの私にとって、美は宗教に代わるものでした。
そこで、私はWhitney Davisの「Queer Beauty」という本を私なりに解釈し、本展を構成しました。同書の中でデイヴィスは、クィアの美意識は単なる欲望の表現ではなく、抑圧から脱却する方法でもあると述べています。私は、育った宗教に裏切られたと感じるからこそ、クィアの人たちは美しいものに聖域を見出すのだと思います。美は精神的なサバイバルの一形態になり得るものです。クィアの創造性は、世界をゼロから再構築し、かつて苦痛があった場所に美を見出すことから生まれています。ニュアンスに富み、重層的で、時にラディカルな方法で美意識を形成します。
今回の個展では、イサム・ノグチ、水之江忠臣、柳宗理など戦後日本のデザイナーたちによる家具とともに、私の新作を展示します。戦後の家具デザインは、凝った装飾を排除し、シンプルさと機能性を重視することをテーマとしていました。このアプローチは、後世の人々に美に対する新しい理解をもたらしました。
私はこの空間を、クィアな記憶と儀式に満ちた神聖な場所にしようと考えています。デザイン・オブジェを組み合わせることで、鑑賞者が座り、立ち止まる。クィアの人たちが美の概念を再構築するプロセスと同様に、美を贅沢品としてではなく、必需品として捉えなおすことができる空間にしたいと思っているのです。
私は、作品の優しさをこの空間に宿したい。
なぜなら、美とは残酷な現実への報復ではなく、ただ花や月の姿を映すものだからです。
ネルソン・ホー
【Events】
本展会期中には、クィアアートについて掘り下げるギャラリートークや、「クィアの美」をご覧いただけるパフォーマンスなど、本展のテーマとなっている「クィア」をテーマにしたイベントを開催いたします。
ご参加のお申し込み・お問い合わせは info@root-k.jp までお願いいたします。
▶ Event #1| Gallery Talk「ネルソン・ホー(Nelson Hor) × 内海潤也」
日時: 12月6日(土)18時~
初日となる12月6日18時より、公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員の内海潤也さんをお迎えしたギャラリートークを開催します。

Guest | 内海潤也(うつみ じゅんや)
1990年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科キュレーション専攻修了。
黄金町エリアマネジメントセンターキュレーターを経て、現在は公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員。ジェンダーに関心を寄せ、日本と東南アジアの現代美術を調査・研究しながら、展示企画、執筆などを行う。主な企画展に「ジャム・セッション 山城知佳子×志賀理江子 漂着」(2025–2026年)、「ジャム・セッション 毛利悠子 ピュシスについて」(2024–25年)、「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap」(2023年、いずれも全てアーティゾン美術館)。2025年7月に設置したアーティゾン美術館屋外彫刻作品、レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》の企画・制作を担当。
▶ Event #2|「Drag Queen Performance」by Nixie Humidity and Andromeda
日時: 12月13日(土)16時~
イベント第二弾は、Nixie HumidityとAndromedaによるドラァグクイーンパフォーマンスを行います。クィアの聖地となる本展会場にて、ドラァグクイーンによる美しいパフォーマンスをどうぞお楽しみください。
「すべての宗教に儀式があるように、もしクィアが宗教であるならば、ドラァグクイーンの舞は、魂を讃える神聖な儀式となるだろう。」 ― ネルソン・ホー
Guest|Andromeda(アンドロメダ)
2019年より東京を拠点に活動するドラァグ/パフォーマー。創造的な表現を通じて、セクシュアリティやジェンダーを探求している。これまでに、Gallery -1をはじめとする東京のギャラリーや、北千住のBuoYなどのアートスペースでパフォーマンスを行ってきた。IWAKAN MagazineおよびMoto IWAKANのメンバーとして、日本語でクィア文化をキュレーションし、発信している。ドラァグを通じて、新宿二丁目のクラブ(キングダム、アーチ、イーグルブルーなど)や、TOMO KOIZUMIのSOHO HOUSEイベントにも出演し、欠かせない存在となっている。 Instagram : @luna.andromeda.jp
IMAGES
-
《Among Thorns 出淤泥》(2025)和紙に岩絵具、45.5 × 45.5 cm
-
《Mirror Flower, Water Moon 鏡花水月》(2025) 写真
-
《The Murder of My Faith 僕の信仰を奪った烏》(2025)インスタレーション (画像: アートフェア東京2025展示風景)
-
《My Addiction to Validation 承認欲求中毒》(2025) 和紙に岩絵具
ARTISTS

東京を拠点に制作するアーティスト。和紙に岩絵具で描かれる繊細な絵画作品や、陶芸作品、インスタレーション、写真を通じて、幼少期から現在に至るまでのクィアとしての経験や宗教との葛藤、記憶と癒やしのプロセスをテーマに制作を続けている。マテリアルに対する細やかなまなざしと、東アジアの絵画・工芸の技法を取り込みながら展開される作品は、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる個人的な物語と、普遍的な「生の不安/希望」を静かに繋ぎ合わせる。
公式WEB https://nelsonhor.com/

東京を拠点に制作するアーティスト。和紙に岩絵具で描かれる繊細な絵画作品や、陶芸作品、インスタレーション、写真を通じて、幼少期から現在に至るまでのクィアとしての経験や宗教との葛藤、記憶と癒やしのプロセスをテーマに制作を続けている。マテリアルに対する細やかなまなざしと、東アジアの絵画・工芸の技法を取り込みながら展開される作品は、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる個人的な物語と、普遍的な「生の不安/希望」を静かに繋ぎ合わせる。
公式WEB https://nelsonhor.com/
EVENT
-
Gallery Talk「ネルソン・ホー(Nelson Hor) × 内海潤也」2025.12.06 (sat) 18:00-
-
-
「Drag Queen Performance」by Nixie Humidity and Andromeda
イベント第二弾は、Nixie HumidityとAndromedaによるドラァグクイーンパフォーマンスを行います。クィアの聖地となる本展会場にて、ドラァグクイーンによる美しいパフォーマンスをどうぞお楽しみください。
「すべての宗教に儀式があるように、もしクィアが宗教であるならば、ドラァグクイーンの舞は、魂を讃える神聖な儀式となるだろう。」 ― ネルソン・ホー
2019年より東京を拠点に活動するドラァグ/パフォーマー。創造的な表現を通じて、セクシュアリティやジェンダーを探求している。これまでに、Gallery -1をはじめとする東京のギャラリーや、北千住のBuoYなどのアートスペースでパフォーマンスを行ってきた。IWAKAN MagazineおよびMoto IWAKANのメンバーとして、日本語でクィア文化をキュレーションし、発信している。ドラァグを通じて、新宿二丁目のクラブ(キングダム、アーチ、イーグルブルーなど)や、TOMO KOIZUMIのSOHO HOUSEイベントにも出演し、欠かせない存在となっている。2025.12.13 (sat) 16:00 -






